2015.3.13
サックスの右手親指をかけるサムフックの試奏大会を行いました。
左から
①金属製(ウッドストーン)
②ラバー製(girot)
③木製(エボニー)(ウインドブロス)
④木製(エボニー+メイプル)(森のサムフック)
サックスについている部品は、すべて管の響きの妨げになるそうです。
サムフックも例外ではなく、管の響きを阻害してしまうようです。
交換用サムフックで吹いてみると、響きの妨げとなる障害を可能な限り取り除いて、管自体の響きを生かすものと、逆に部分的に響きを抑えることで、響いて欲しい部分をより鳴るようにするものがあるような気がします。①②が前者で、③④が後者だと感じました。
アドニワのお気に入りは③④でした。
使用楽器
Ⅰ.ソプラノサックス H.SELMER SerieⅢ
Ⅱ.バリトンサックス YANAGISAWA B-991R
Ⅰ.ソプラノサックス試奏
①金属製サムフック
管と楽同じ金属を使うことで、楽器がとてもスムーズに鳴ります。まさにフックと一体となった感じです。まったくストレスなく吹くことができました。
ちなみに、このフックは管との接地面積を少なくする工夫がされています。
②ラバー製
管はとても鳴りますが、若干ちらばる感じもするので、コントロールに慣れる必要がありそうでした。響きはプラスチック製のものより格段に良い感じがします。
このフックは材質よりも、接着面積の影響が強いのかもしれません。管体との接地面が4点球体のため、管に与える影響が少ないです。(詳しくはメーカーHPで)
奏者の技術の問題かな…
③木製(エボニー)
エボニー(黒檀)はとても重く固い木で、管の振動を抑えます。ソプラノだとその影響が大きく、抑えられすぎて鳴らすのにパワーが要ります。ちょっと扱え切れませんでした。
④木製(エボニー+メイプル)
エボニーだと管を抑えすぎますが、間にメイプルを挟んだこのフックは適度に管を抑え、とてもパワーが出ました。音色は木特有の柔らかく、広がる感じで、吹奏感も心地良かったです。これ、採用したい。
Ⅱ.バリトンサックス試奏
①金属製サムフック
残念ながら、うまく装着できず、試奏できませんでした。
④木製(エボニー+メイプル)
順番が前後しますが、先にこちらを試奏しました。パワーがあり、程よく抵抗感が増し、まとまったやわらかい音色になりました。
③木製(エボニー)
④よりさらにパワーが増し、吹奏感も心地良かったです。ソプラノだと、管が抑えられすぎて、扱うのが大変でしたが、バリトンだとこちらの方が良かったです。ちなみに、アルトとテナーに装着しても、苦しくなく、パワーアップ+音色まろやか効果が得られました。採用したい。
②ラバー製
いまいち… ③④よりパワーダウンで、楽器を鳴らすのが少し苦しい感じです。管体が大きすぎると全体を鳴らすのは大変なので、一部を抑えて、他の部分の響きを増大させる方向に持っていったほうが効率が良いのかもしれません。
まとめ
楽器の種類によって合うものと合わないものがありそうです。音色と吹奏感などは奏者の好みかな。
ただ、フックだけ変えると、管の上方と下方で吹奏感と鳴り方が違い、若干の違和感があります。(ほんの少し)
変えるなら、サムレスト(左手の親指をあてるところ)の変更も一緒に検討するのがよいと思います。
フックはドライバーか小銭があればすぐ取り外しできますが、レストの取り付けはリペアマンに頼んだ方が安心です。
…なのでサムレストの試奏は練習中にできなかったのです涙
アドニファンの方からまたもプレゼントもらっちゃいました。
アドニファンの方からプレゼントを頂きました!
名前入のタオル、しかも演奏の時に着ていたシャツの色です。
メンバー一同感激しております。
ありがとうございました!
これからも、アドニワらしい良い演奏ができるようにガンバリマス!
練習の時、アルトサックスのネック吹き比べしました!
練習時間の半分、遊んでました。
メッキに興味のある方の参考になればと思います。
質問などあればこちらへどうぞ。
【ラインナップ】
・H.SELMER SerieⅢ Unlacquer
・H.SELMER SerieⅢ Gold Plate
・H.SELMER SerieⅢ Jubilee Gold Plate
・H.SELMER SerieⅡ Gold Plate
・H.SELMER SerieⅢ Sterling Silver Platinum Satin Plate
・H.SELMER SerieⅢ Gold lacquer(ノーマル)
・YAMAHA M1 Pink Gold Plate
・H.SELMER SerieⅢ Jubilee Platinum Plate
• H.SELMER SerieⅢ Satin
詳しくは以下の詳細レポートをご覧ください。
また、メッキ加工を依頼した管楽器工房Klang様のブログでも試奏に関して触れていただいております。
今後も別の仕様を吹く機会があれば追加でレポートします!
もうブラックラッカーぐらいしかなさそうですが…
アンラッカー(SerieⅢ)
【試奏者 小松】(classical setting)
小松:つらい。
木村:楽に息入っていきませんか?
小松:音が響かなくて、無理に響かせようとするからかな。ノーマルのネックの反応の速さとはまた違う感じがしますね。
【試奏者 佐藤】(classical setting)
木村:音量が出てる感じがします。
佐藤:反応速いですが、楽器はネック周辺で鳴ってる感じがします。
木村:音色は少し粗いというか、包まれてない感じがしますね。
佐藤:コントロールが難しい。でも、うまくコントロールできれば面白いと思います。
【試奏者 木村】(jazz setting)
小松:しぶい。バーでお酒を呑みながら聞きたい感じですね。私お酒飲めませんが…
木村:楽に息が入って吹きやすい、吹奏感が重い方が良かったんですが、年取ったら楽に音が鳴る方がいいなと最近思ってます笑。
佐藤:雰囲気があって良いと思います。
金メッキ(SerieⅢ)
【試奏者 小松】(classical setting)
木村:おおー、いつもの感じですね。音がきらびやかに遠くに抜けて行く感じです。
佐藤:音に芯があるように感じます。
小松:自分の(SerieⅢ jubilee)より抜けますね。吹き込まれてる感じ。
木村:小松さんの楽器まだ新しいですからね。このネックはもう15年近いですもん。
【試奏者 佐藤】(classical setting)
木村:いつもの感じですね笑。そういえばお二人は普段金メッキで、今回ノーマルのネック吹いてないので、基準がこれなんですね。機会があればノーマルも吹いてみたいですね。
佐藤:私は小松さんのネック、抵抗感があっていいなと思います。
小松:良かった…
佐藤:自分の(SerieⅡ)が一番吹きにくい…
【試奏者 木村】(jazz setting)
佐藤:やっぱり芯があるような感じがします。
小松:音がキラキラしてます。
木村:ジャズ吹くには、音がきれいすぎるというか…、うまく活かせるような吹き方できればいいんですが。SerieⅡは抵抗感ありますね。その分厚みのある音です。
総銀 プラチナサテン(Serie Ⅲ)
【試奏者 小松】(classical setting)
小松:楽器がとても良く鳴ります。それで音が太い。
木村:きらびやかな金に対して、深みのある大人な感じがします。
佐藤:楽器がとにかく鳴ってる感じがします。
【試奏者 佐藤】(classical setting)
佐藤:これがいい。
木村:あげませんよ笑
佐藤:抵抗感もあるし、管体が鳴っているのが手に伝わってくるのがすごい。
小松:音が厚くなりますよね。
木村:特に中低音の響き方が深みがあって好きです。高音域は落ち着いた音色でキンキンしないです。
【試奏者 木村】(jazz setting)
木村:これ吹くのすごくパワーがいるので大変です。
小松:キラキラさはアンラッカーと金メッキの中間くらいですね。
木村:マウスピースをメタル(Yanagisawa Metal 7)に変えてみますね。
佐藤:迫力がすごい。すごく遠くまで鳴っていく感じがします。
小松:芯があって厚みもあり、すごいキラキラしてます。
木村:このセッティングはマイク乗りがすごく良いんです。
ノーマル(SerieⅢ)
※後日、ノーマルネックを吹く機会がありました。
【試奏者 木村】(classical & jazz setting)
木村:とにかく反応が速いので吹いていて気持ちいいです。SerieⅢは反応が良いのが特徴と言われていますが、その特性が一番発揮されているのはノーマルのネックだと思いました。音色も楽器の鳴り方も他の特殊なネックに比べて、素直でコントロールしやすくて、とても吹きやすいです。
ピンクゴールド(YAMAHA M1)
秋田市御野場にある管楽器修理工房Klang様にて、ピンクゴールドのネックを試奏させていただきました。技術者の佐藤智幸氏と3時間に及ぶ試奏大会をぎゅっと凝縮してレポートします。
※YAMAHAのネックはSELMERと口径が同じため、付け替え可能でした。
【試奏者 木村】(jazz setting)
木村:楽器がすごく鳴りますね!
智幸氏:メッキをかけると、ネック自体はあまり振動せずに、響きを管体に伝えるので本体がよく鳴るようになるんです。
木村:そうなんですね。アンラッカーはネック自体が鳴る感じがしますもんね。
智幸氏:総銀のネックも管体に響きを伝えてる感じがしますね。
木村:金メッキがきらびやかな音色に対して、ピンクゴールドはつややかで、優しく柔らかい感じの音色です。
智幸氏:金メッキやピンクゴールドは音色の変化だけでなく、楽器の腐食を防ぐ効果もあるのでオススメです。
木村:なるほど。勉強になります。
プラチナメッキ(SerieⅢ Jubilee)
【試奏者 管楽器修理工房Klang 佐藤智幸氏】(jazz setting)
木村:ものすごく楽器鳴りますね!音圧、迫力が段違いです。
智幸氏:ノーマルのネックが今無いので、吹き比べられないのが残念です。
木村:ピンクゴールドもかなり管が鳴っていると感じましたが、それよりも鳴ってます。ただ、ピンクゴールドがとてもつややかで柔らかい音色に対して、プラチナは管が鳴る分、音色が少し荒れるので、クラシックを吹く時はしっかりコントロールしなければいけないかもしれませんね。
智幸氏:プラチナはとても硬い金属なので、響きが管にダイレクトに伝わるんですね。それにしてもすごい。最低音のppもしっかり鳴ります。
Aさん(Klang来店中のお客様):音量がピンクゴールドの倍ぐらい出てるように感じます!音がバァーン!って感じで。
【試奏者 小松】(classical setting)
小松:どうですか?
木村:正面で聞いたら、今までと別物です!音が太いです。金メッキのネックの音が細く感じます。
佐藤:音がとてもクリアで、遠くに飛ぶ感じがします。音色は好みによるかもしれませんが、今まで吹いた中では小松さんに一番合ってる気がします。
小松:息がとても楽に入っていって、楽器が鳴るのが良いですね。
木村:低音は、床が振動するほど鳴ってますよ。
小松:音色は暴れてないですか?管が鳴るので音が散らばってしまってるんじゃないかと…
佐藤:暴れてないですよ。遠くまで響く感じです。
【試奏者 佐藤】(classical setting)
小松:音がとても厚いです。音圧もすごいです。
木村:息を入れた瞬間からしっかり鳴りますね。
佐藤:管が響いているのが手に伝わってきます。音色はやっぱり好みが分かれそうですね。
木村:金メッキに比べて少しブライトな感じがしますもんね。
佐藤:うまくコントロールできれば、クリアな音色でとても良いかもしれません。
【試奏者 木村】(jazz & classical setting)
佐藤:ものすごく鳴りますね。迫力満点です。
木村:息がスムーズに入って、楽器が鳴る感じです。
小松:ほんと、吹くのとても楽ですよね。
木村:音の立ち上がりが凄く早いです。個人的にはもっと抵抗感があった方が好みかも…。クラシック用にセッティング変えてみますね。
木村:とても良いです!無理に頑張らなくても楽器が鳴ってくれるので楽しい。
佐藤:音色もまとまっていて良い感じですね。楽に吹けているように見えます。
サテン